駐在生活備忘録:異文化理解①
多くの駐在員が、日本のテレビが見られるように回線を引いていたり、
日本人街に住んで、日本人と交流している中、
私は現地のテレビ番組を見て、普通の住宅街に住み、現地の子と交流していました。
そのため、自然と中国の“今”の生活に詳しくなっており、
営業先の日系企業の皆さんから
「中国歴長いんですよね?10年ぐらいですか?」
と聞かれることがほとんどでした。
そんな私から見た中国は、
・日本と比べ、はっきり意思表示する
・よくしゃべる(バス待ちとかで知らない人と意気投合したりする)
・とにかく、家に呼ぶ(これ、日本人として面食らうやつ)
・キャッシュレス便利
・なんでもスマホで便利(銀行、タクシー、ネットスーパー、自転車etc.)
などなど、よく言われている違いはあったものの、もっと驚いたことがありました。
それが、
売込みに対して、開けている
ということでした。
数年前まで、言い値の世界だったこともあり、
「いくら?」というのに抵抗がないことはもちろんですが、
実はテレビ番組自体の作り方が全然違うのです。
私自身、この分野の専門家ではないので、あくまで一個人として、
生活してみた感想として、まとめてみました。
1:テレビドラマ中に、衣装の通販が始まる
それは、ある日、家で当時流行っていたテレビドラマを観ていた時のこと。
恐らく、日本でもある程度は、名前の知られている
楊冪(ヤン・ミー)さんが、上品なファッションで登場。
すると…
ドラマの進行を無視して、画面下4分の1程度に帯が登場。
なんだと思ってみたら…
「今、女優が来ている服は、○○というブランドの商品です。
値段は300人民元!!買うなら今!!」
という表示が…。
元の画面はそのままのサイズなので、下1/4が隠れたのは、
さすがに邪魔です。(※後で友達に聞いたら、通常放送は出ないそうです)
インターネットテレビだったからって、やりすぎです。
そのことを、後日、現地の友人に話すとこう言われました。
「楊冪は、帯貨明星なんだから、
別に広告が出てもいいじゃん。
みんな買ってるよ!!」
※帯貨明星:消費影響力の高い芸能人
2:ドラマ中に宣伝商品が山積み&ドリンク飲み続ける
そして、別のある日、同じく当時、非常に流行っていた
歓楽頌(日本語だとこのページに丁寧な解説あり)やその他ドラマを
観ていても、CMで流れていた商品が、部屋の端っこに山積みにされていました。
一番面白かったのが、スポンサーが飲料メーカーで宣伝商品がドリンクだった時。
当然のように、毎回、そのドリンクを一気飲みするシーンがありました。
まるで、CMか…ってイメージこれぐらいで露出します。
とにかくスポンサーの力がすごい。
3:宣伝専門アナウンサーがいる&司会自らも宣伝
バラエティー番組に至っては、司会が自ら商品の説明をしたり、
今年MISIAが出て話題の「歌手」という私が6年以上見ている番組でも
宣伝専門アナウンサーの方が、商品の宣伝をするほか、CMに入る前、
司会者(歌手のうち1名)が必ず、商品説明と提供メーカーの説明をします。
【ENG SUB】《歌手·当打之年》第12期 歌王之战总决赛完整版:歌王之战掀起巅峰对决 李宇春火力全开助阵华晨宇 Singer2020 EP12【湖南卫视官方HD】
こっちらは、バラエティー番組なので、流れを中断された感は出ないため、
気にはなりませんが、
「ご覧のスポンサーの提供でお届けしました」
というコメントやテロップではなく、しっかり時間が割かれており、長い。
やはり、ここでもスポンサーの力を感じずにはいられません。
こちらのお見合い番組でも、番組ロゴではなく、
拼多多・ピンドウドウ(スポンサー)のロゴが全面に掲げられてます。
そして、出演者同士の会話から、
司会がばっちり、拼多多の宣伝につなげるという徹底ぶり。
非诚勿扰 完整版 迎来超优质学霸:立志成为对IT界有影响力的领军人物 191221
日本でも、提供元のCMはもちろん、ロゴを出したりしますが、
頻度も押し方も桁違い。
当たり前ですが、中国は人口が多いので、宣伝にはお金をかけないと、
露出で埋もれします。そして、ビジネスのエコシステム(投資サイクル)が
出来上がっているので、スタートアップの企業でもダイナミックに投資をします。
4:電車の中でビラ配り&wechat登録
日本でも、駅前にはビラ配りの方がいますが、
私もやっていたことがありますが、
歩いている人に興味をひかせるのは簡単ではないです。
中国の方は、とても効率を考える人たち。
そのせいなのか、文化なのかわかりませんが、
電車のしかも車両の中で、ビラ配りをする人が結構います。
しかも、うたた寝していると、勝手に鞄にチラシを突っ込まれることもあります。
それぐらいは、気にしなければ、気にならないのですが…ある日
「こちらのQRコードをスキャンして、投票をしてください!!」
という人が出始めました。
完全なる評価社会の上海では、
日本でいう、出前館やデリマ、食べログのようなサービス。
例えば、饿了吗、大衆点評 などの評点が4.5以上ではないと、
人気が出ない=客足が伸びない のです。
そこで、自力で営業して、いい評価をつけてもらおう!
と電車の中で「新店オープンしました!」「○○の店やってます!」と
普通に営業をかけてくるんです。熱心ですよね。
※外国人なので、中国語分からないふりして、日本語で切り抜けてました。
声をかけられている側も、特に嫌な顔をすることもなく、
可愛い女の子だったりするとおおよそ1/3程度、
投票や店の登録をしてもらうことに成功していました。
(普通の若い男性や普通の女性でも、1/5程度は成功していました)
5:聞いてもないのに商品説明スタート
スーパーやコンビニでも面白くて、
何度か行くと、特に年齢が高い方は
「今日はあれ買わないのか?」とずけずけ聞いてきます。
そして、商品棚の前でうろうろしていると、
品出し係の方が、売れ筋が何か?個人的にどれがおススメか?
をまくしたててきますした。
エリアや店の方針もあるようで、上海はやや少なかったけど、
四川はすぐに話しかけてくるので、しかも四川語で話しかけてくるので、
困った覚えがあります。
※とはいえ、北京語で話したら、合わせて北京語で、
ゆっくり、丁寧に話してくれました。
このような、1~5が続いた中、私ははたと気づきました。
「この人たちは、売込まれることに抵抗がない」
別にいらなかったら、断ればいいじゃん?!
テレビって、スポンサーがあるから成り立ってるんでしょ?!
結構、当たり前にそう思っています。
そして、よく考えると、その考えの方が当たり前です。
慣れていない私は、いちいちしていましたが、
そういうもんか!と思った瞬間、心が晴れやかに
駐在は本社との調整や仕事のプレッシャーなどもあり、
言語がわかる状態で行っても、つぶれる人もいるのが事実。
私がここに書いていることは、私から見た感想で、
専門の方は、もっと違うことをおっしゃるでしょうし、
そのほかの見え方の方もいると思います。
それでも、異文化の環境では、自分なりに
「どうやらこうみたいだ!」
と1つずつ理解をし、修正をしていくことを楽しめると、
理解も進むし、心晴れやかに毎日を過ごすことができます。
楽しんで、ヒントにしてくれたら嬉しいです。